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トランスポゾン技術開発者 川上浩一博士
川上浩一教授

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 遺伝形質研究系発生遺伝学研究室 教授
和歌山県生まれ おひつじ座 O型

研究テーマ:トランスポゾン技術を用いたトランスジェニックゼブラフィッシュに基づくヒト疾患研究•脳機能研究。トランスポゾン技術の哺乳動物細胞への応用研究。


「生物の体づくりや行動までのさまざまな現象を遺伝子の言葉で説明できる」このことに魅かれて東京大学生物化学科に進学し生物学を志す。大学院生時代およびその後の数年間の助手時代を港区の東京大学医科学研究所で過ごし、大腸菌や酵母といった単細胞生物の遺伝学研究に従事する。1994年、米国マサチューセッツ工科大学留学を機会に、ゼブラフィッシュ を用いた研究を開始。1997年に帰国後、トランスポゾン技術開発に成功し、2002年以降、国立遺伝学研究所において研究室を主宰する。

アメリカのマサチューセッツ工科大学留学を機に、研究対象をそれまでの単細胞生物からゼブラフィッシュに変えた。当時、日本でゼブラフィッシュ研究者はまだ数人しかいなかった。新しいモデル生物だったので賭けるつもりで選んだゼブラフィッシュは胚発生の過程で細胞が変化していく様子が全部見えて、とても美しい。
アメリカから帰国後の5年間、ペットショップで安価なプラスチック水槽を30個ほど購入し、365日、毎晩遅くまで実験を重ねた。トランスポゾン技術を開発し、さまざまな細胞や臓器でGFP(緑色蛍光タンパク質)が光るトランスジェニックゼブラフィッシュを作製するための研究であった。2000年ごろ、顕微鏡を覗いていて脳や心臓が緑色に光る魚を見た時は全身から力が抜けた。『これで研究者として生き抜くことができる』と思った瞬間であった。この後現在に至るまで、ゼブラフィッシュを用いた研究を発展させるとともにトランスポゾン技術をヒト細胞を含めた哺乳動物へ応用する道を拓いていった。

トランスポゾン技術を駆使して、体のさまざまな細胞•臓器が光るトランスジェニックゼブラフィッシュを2000系統以上作製してきた。世界最大のトランスジェニックフィッシュリソースである。これらをヒト疾患研究や脳機能研究に利用するとともに、世界中の研究者と共有し国際共同研究を推進、これまでに200報以上の英文論文を発表してきた。さらにトランスポゾン技術に関する特許を取得し、国内外の製薬会社20社以上にライセンシングすることで創薬研究•抗体医薬製造に貢献してきた。

研究は、ゼロから自分で考えて作り上げていく。どうやって産み出すか? 他人から教えられることはできないし、他人にアドバイスすることもできない。研究者は、作家や芸術家と同じように産みの苦しみを味わう。また、生物系の研究は面白くなるまで時間がかかる。自分の実験技術が100%確かじゃないとお話にならない。まず最初は実験が下手。下手だと何をやっているんだかわからない。実験が悪いのか、考えが悪いのかを区別できない。自分の実験技術が100%確かだと思えて初めて研究が面白くなる。だから最初の数年間は修行と思ってがんばるしかない。基礎研究は地道ではあるが、回りまわって社会の役に立てていきたいと思っている。